親友の無念思い献花 台湾の男性 嶋崎さん案内で祈りの塔にて

 稚内、豊富で自然ガイドとして活動するポラリス・ネイチャーガイズ&コンサルタンツの嶋崎暁啓さん主催の今季初めてのツアーに参加した台湾の旅行者(63)28日、宗谷岬平和公園に立ち寄り、祈りの塔で献花し世界の恒久平和を願った。
 乗客・乗員269人全員が犠牲となった1983年9月1日の大韓航空機撃墜事件で、親友を亡くしたという台湾旅行者が嶋崎さんの案内で、事件の慰霊と世界平和を願った祈りの塔を訪れた。午前中は曇り空だったが、午後に慰霊碑がある丘に辿り着くと晴れていたので水平線上にサハリンが見え「親友に気持ちが伝わったかもしれない」と祈り塔の献花台に花を捧げた。
 台湾の男性は4泊5日の日程で稚内に滞在。日本には3回目の来日で稚内含め北海道は今回が初めてとなり稚内への一番の目的は祈り塔まで来て、親友に花を捧げることだった。嶋崎さんは3日間男性をガイドし宗谷丘陵の白い道や大沼のハクチョウ、北防波堤ドームなども案内した。
 男性は翻訳機を通じて「毎年9月1日に稚内市である事件の平和祈念の会に願いが叶うのであれば、私も参加させて頂きたい」と嶋崎さんらに思いを伝えてきた。
 観光ガイドだけでなく男性の人生に触れた嶋崎さんは「色々な想いを持って稚内を訪れる方がいらっしゃることに気づかされました。私も一緒に献花させて頂き、改めて国境のまち・稚内の地理的な意味を考え、平和の尊さを感じました。今後も旅行客の気持ちに寄り添った案内ができるよう心掛けていきたい」と話していた。