24年問題など多岐に 商工会議所主催 蹴揚運輸局部長講演会 物流、交通、観光など

 物流の2024年問題などテーマにした稚内商工会議所主催の講演会が15日午後、宗谷経済センターで開かれ講師として招かれた国交省道運輸局の蹴揚秀男交通政策部長は交通のエキスパートとして「地域発展には公共交通を利用することが重要」などと話した。
 蹴揚氏は1974年に稚内で生まれ東小、東中を卒業し北大経済部から道開発庁に奉職民主党政権時代には国交大臣政務官秘書官を務め、スウェーデン日本大使館の一等書記官として赴任したこともある。道内勤務は22年ぶりになる。
 「物流・交通政策を巡る最近の動向」と題して講話を始めた蹴揚氏は、2024年問題が打撃を与えているトラック運送を中心にした物流政策に触れ、規制緩和もあって、6万3千業者(道内3500者)と緩和前の1・5倍にも増えたトラック運送業者の運転手の▽労働時間が全業種平均より2割も長く(400時間~450時間)▽年間賃金も同5%~15%低く(20万~60万円)▽有効求人倍率が2倍高いという人手不足▽年齢構成も40代~54歳までの中年層の割合が若年層(20代以下)高齢者(65歳以上)の全業種平均より10㌽も高い―などとの現状が示された。
 この待遇を働き方改革関連法に基づき運転手の時間外労働(残業)を年960時間の上限規制が適用されるのが24年問題であり①商慣行の見直し②物流の効率化③荷主・消費者の行動変容の3点セットで標準的な運賃改正再配達半減に向けた対策を推し進めなければ24年には14%、30年には34%の輸送力不足の可能性があるとして荷主対策を最重点に取り組まなければならないとした。
 GW前後には「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」が成立し、輸送力不足を是正するため荷主・物流・消費者が一致協力した物流改革に取り組まなければ持続的な物流の成長はないとした。
 交通政策に関しては①地域公共交通リ・デザイン(再構築)②ライドシェアを巡る最近の情勢③鉄道④観光・離島航路について講話する中、将来の地域交通を支える方策としてのライドシェアの問題点をクリアした推進、収入3億4千万円に対し掛かる費用29億8100万円(22年度)のJR宗谷線の利用状況には「地域住民の利用努力」が求められるとし稚内市の23年4~9月の観光客入込が全体の68%を占め、外国人宿泊客も台湾(37%)をトップに伸びていることもデータで示した。
 最後に集まった60人の聴講者を前に「宗谷(稚内)にあって観光需要取り入れは経済にとっても重要」と述べていた。