時の話題 「離党勧告の二人」

 自民党派閥の政治パーティー券収入のキックバック(還流)裏金事件を受け、所属議員ほとんどが甘い汁を吸っていたのに「離党勧告はおかしい。岸田派だって裏金を受け会計責任者が書類送検されたのに親分たる岸田総裁に何の処分がないのは片手落ちでないのか」と処分の是正を求めた塩谷立衆議の言い分は最も至極で、この問題は未だ々々尾を引きそうである。
 いつぞやBSフジのプライムニュースを視聴した時、政治評論家が「塩谷さんは安倍派座長という職責があるのだから処分が出る前に辞めるのが筋」と強弁していたが見方が甘い。安倍元総理が凶弾に倒れ悲運の死を遂げた後の幹部の集まりで、いわゆる五人衆と呼ばれた議員が政倫審で「知らぬ存ぜず」を主張する中、曖昧な言い方だが集まりの話し合いの中味に言及した塩谷氏はある意味、正直な方だと個人的に思料するも著名な評論家にまで糾弾された塩谷議員をおもんぱかると「正直者は損をする」という言葉が頭に浮かんだ。実際、塩谷氏は落選の憂き目にもあっており前回衆院選も小選挙区で敗れ比例で復活している。
 選挙が弱い―と容易過ぎる分析でなく、この神も宿るという正直者ゆえの失敗があったのではと推察する。
 同じく離党勧告を受けた世耕参議はあっさり離党したのは関西の雄・近畿大学の理事長にあると共に衆院選に打って出る腹が固まったためであり、引退する二階前自民党幹事長からの軛もない立場の無所属での立候補が有力視される。
 二人の事情は天と地ほど違う。