「事業と雇用の維持」 新春経済懇談会 中田会頭らが所感述べる
稚内商工会議所主催の新春経済懇談会が12日午後、サフィールホテル稚内で開かれ、中田会頭はじめ各界代表者が新年の抱負と地域経済発展に向けた思いを語った。
開会に先立ち元日にあった能登半島地震の犠牲者に黙祷を捧げたあと、出席した180人余りを前に中田会頭は昨年1年間について3年に及んだ新型コロナが5類に移行し日常生活やビジネス活動も正常化しつつあるが、物価高騰や人手不足など経営環境が極めて厳しい中で地域経済を支えてきた会員事業者に敬意を表し「経営者の皆さんが今後も事業と雇用を維持できるよう支援の取り組みを進めていきたい」と述べた。
社会資本整備に関し国道40号の北海道縦貫自動車道、冬季就航率改善の稚内空港滑走路整備などの早期実現に向けた要望。観光では今年で指定50周年を迎える利尻礼文サロベツ国立公園への更なる集客を期待を示し、脱炭素では令和7年までに宗谷全体で200基、60万㌗を超える施設の稼働が予定され、国のエネルギー安全保障に大きく貢献すると共に間もなく設立される新電力会社〝北風と太陽エナジー〟は地元経済に大きく貢献するものであるとし「我々を取り巻く環境はコロナ禍による社会環境の変化人口減少など社会課題は転換点にあり、これら環境変化を停滞から変革、そして成長への好機と捉え社会課題の解決と経済成長の実現を目指した邁進する」とした。
続いて武部衆議が年頭所感として能登半島地震発生を踏まえ「宗谷でも冬の災害が起きることは大いにあり得る。国土強靭化を更に進めなければならない」とし、政治資金問題に触れ「ご心配をかけていると思います。政治の信頼回復に向けてしっかりと取り組む」工藤市長は再生可能エネルギーの取り組みで「民間による地産地消を含め更に一段レベルアップしながら環境保全に取り組み、未来に向かってしっかりと挑戦し続けていく」、吉田道議は千歳市での半導体工場ラピダス進出について「地方にも経済を回す取り組み進めたい」と述べた。
続いて山梨高裕稚内開建部長と清水目剛宗谷総合振興局長が年頭に当たって挨拶をした。
休憩したあと佐伯市教育長の「ふるさとキャリア教育と人づくり」と題する特別講演があり、ふるさと教育とキャリア教育を通した人づくりについて講話した。
佐伯氏は標題の発端は6年前に遡り元紺谷稚高校長が提言した〝わっかない人〟づくりだとして「稚内だから」ではなく「稚内だからなんて言わせない」とする心意気に学ぶことから稚高だけでなく大谷高の文理専攻、地域探求専攻の導入による文武両道の教育方針そして昭和46年から50年間続けられている宗谷中の産業教育に〝ふるさとキャリア教育〟の稚内での原点を見る思いがしていることに言及した。
今後の稚内市政について人口減少と少子高齢化の進展は進むばかりで今起きている▽中学卒業生の約40人(卒業生の20%程度)がスポーツ強豪校や難関大学進学めざし札幌や旭川などの高校へ進学▽高校生の7割が稚内市外に進学し、大学など卒業後も稚内にUターンしない―という現実を是正するには「ふるさとを慈しむ教育の重要性が求められている」と強調した。
地域の行事や体験活動に参加し、地域を知ることで故郷への愛着や誇りを醸成し、地域(稚内)と共に将来像を描き、自らの未来への夢を馳せるという稚内市が標榜する「ふるさとキャリア教育」への存念を述べた。
そのキャリア教育の基盤となる市内7中学校でのコミュニティ・スクールは今年3月末に立ち上げるべき準備を進めており、いじめや不登校、貧困、学力向上などに対処して行きたいとした。
40分間に亘った公演の締め括りとして「ふるさとキャリア教育を推進し、ふるさと稚内の課題解決に挑戦する〝わっかない人〟を共に育成して行きたい」と力強く話していた。