時の話題 「倒産ゼロと言えど」

 昨年に続き今年度上半期(4~9月)の稚内での倒産はゼロと、東京商工リサーチ旭川支店から公表された。
 20年~今年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行後の経済活動の活発化は目に見えるものがある一方、禍中の倒産も極めて少なく、災禍が無ければ淘汰されていた事業所が政府のゼロゼロ融資による〝ゾンビ企業〟として生き長らえたのもここまで倒産が皆無という一見、好状況を呈しているのだろう。
 しかしゼロゼロ融資の返済が今年春先から始まり身の丈の数倍もの数千万円もの融資を受けた企業の行き詰りが懸念されるどころか倒産するのは遠い話でなく、国内も全道も道北も稚内も年末~来春位までが正念場となるだろう。
 と言った状況下での福島第一原発の処理水の海上放出に端を発した中国の日本水産物の禁輸措置である。ホタテ、サケなどのほか大きくボリボリがあるとして好評の稚内漁協産のナマコも壊滅的な打撃を受けている。
 冷凍など保管法の進歩により今すぐ輸出できなくとも保管は可能だろうが限度があるだろう。所有冷凍庫以外の他の冷凍庫では支出も多くなる。
 稚内産ホタテに関しては友好都市の太田市(群馬県)が4万㌧買い支えてくれるなど支援の輪が広まり感謝しているが弥縫策にすぎず、ここは禁輸を解くよう中国政府に働きかけるしかあるまい。
 立場を逆にしてみれば日本も同様な対策を講ずるのでないのか。
 基幹産業がぐらつくようだと末端の事業所の倒産増加もあろう。手をしっかり打たねばならない。