時の話題 「水産王国に危機」
昭和52年(1977年)の当時のソ連の二百海里専管水域設定により58万㌧、286億円の水揚げ高から奈落の底まで至った稚内の底曳き網業界。船の数も56隻→41隻(昭和52年)→20隻(61年)→10隻(平成14年)→7隻(23年)、そして今は5隻まで減ってしまい、水揚げも1万6千㌧、13億8千万円とピークの5%ほどと惨たんたる状況にあって開かれた稚内市地方卸売市場買受人組合(中陳憲一組合長)の創立50周年記念式・祝賀会はこじんまりしていたものの、中陳会長が「80年、100年を目指しておりますので御支援御協力を」と挨拶したように水産稚内を支える気概をにじませた。
5隻まで減った業界の未来はお世辞にも「明るい」とは言えず船が老朽化している上に乗る人も足らず厳しい早晩、存続できるのか否かの決断を迫られる船が2隻ある。船主個々の判断だけでなく機船漁協、稚内市、そして買受人組合など関係団体共助のもと前向きな方向策を講じるべきであろう。
地球温暖化による海水温度の上昇により当初、昨年を上回る来遊量になるものと予想された定置網のサケ漁は苦戦しており、6月~9月漁期のオホーツク海二丈岩海域(猿払沖)のオオナゴ漁は、オッター船の不当臨検により着業が遅れた昨年の657㌧を57%も下回る282㌧と無残な結果に終わった。
頼みのホタテ、ナマコも中国の禁輸措置により厳しい状況にあり沖合ばかりでなく沿岸にも怒涛が押し寄せている。
自然に抗えないものの、共助による打開策を探る時に来ている。