時の話題 「断捨離の頃合」

 類は友を呼ぶ。似た者同士は自然と集まるものである。
 先日、お通夜で隣り合った知人との会話の中で出た言葉で、亡くなった方は勿論、何人かの人達の顔が思い浮かんだ。
 会社を経営していると商売上の人との関係が濃くはなる。多くの方々は仕事もそうだが、趣味やスポーツなど個人的関係での交友が大切となり、夫々の年代を過ごす。例えば野球やサッカー、ゴルフ仲間でもいけ好かない奴はいるもので、好き嫌いで選別するとグループは出来ず妥協に妥協を重ね作っていかねばならない。
 個人的に類について申せば亡くなった人が多く、市を退職し絵描きしていたHさん、保険屋をしていたKさんそして稚内で商売していたが故郷の札幌に戻り大手映画会社北海道営業所長をしているTさん、自動車会社を経営しているTさん等々商売柄上の縁もあり刎頸の交りをさせて戴いている方々がいる。
 子どもの頃から思春期、大人と成長する中友というのは欠かせないもので筆者なんぞは幾度助けられた事か。
 人生の先が見えてきた頃から人は余計な物だけでなく心の中含めた断捨離をし、その日を迎えようとする。後生大事にしてきた物や心まで放棄するのは辛いものがある。が、乾坤一擲の気合を込め捨て去らなくはいけない。大袈裟とも言える表現を使わなければならないほど、ある意味人生の過去を彩った物を捨て去るというのは胆力が要求される。
 浮き世の柵をも捨て去るのは生き死に賭ける最後の戦いにもなろう。友をも捨て寂しく旅立つのである。