時の話題 「敬老の日」

 文字どおりお年寄りを敬う日である。数十年、他人事のように書いてきたが、今や対象となる年齢なるも未だ若い気がのぞいてしまうのは古希70歳に達していないからなのであろうか。
 日本は世界に冠たる長寿国であり、厚労省が公表した昨年の平均寿命は女性87・57歳、男性81・47歳と男女とも80代に乗っている。
 前年に比べ女性が0・14歳、男性で0・09歳下回ったのは新型コロナウイルス感染症によるのに違いない。東日本大震災翌年の2012年に下回って以来のことだという。
 長寿は目出度いことだが中味が問題で、当人がある程度まで自力生活できなければ半減するか。家族にしてみれば長寿は慶賀なことだが、大体の高齢者がそうであるよう施設や家族の看護・介護に頼らなければならない境遇であれば当人も家族も嬉しさ半分と言ったところだろう。
 ということは健康でいられる健康寿命が人の一生にとって大事なことで、女性が75・38歳、男性72・68歳(2019年)で平均寿命から10歳ほど少ない。
 65歳を過ぎ高齢者の仲間入りしてから満足した余生を過ごすには健康でなければならず余裕がある人を除くと年金だけでは生活できないので第二、第三の人生を模索する必要があろうか。
 社員を含め口癖のように言うことがある。「楽をせず一日々々を一生懸命に送り、臨終間際に孫らに囲まれ『幸せな一生だった』と思えれば勝ち負けない人生といえど勝利したということになるであろう」
 人生とは不可思議なものである。