ドームで平和祈念の灯 大韓機事件起きて40年 子育て平和の日記念式も

 乗客・乗員269人全員が犠牲になった大韓航空機撃墜事件から節目の40年が経った1日夜、第18回平和祈念の灯が北防波堤ドーム内などに灯され、犠牲者の御霊を追悼し世界の恒久平和を誓った。
 式典オープニングで稚内フラウエンコールとエンジェルボイスが合同で「みどりと愛と平和」の合唱を披露したあと、参列した遺族会の川名正洋さん(静岡県)、山口真史さん(兵庫県)や実行委員ら関係者120人余りを前に、工藤市長は稚内の街が国境に位置していることに触れ「他の地では経験できない出来事を経験してきた街。平和を守るための祈念の灯の根拠となり亡くなられた岡井仁子さんが稚内、紋別、ネベリスクで展開した野焼きで事件に対する平和への思いを我々はしっかり引き継いでいかなければならない」と挨拶。但田勝義実行委員長が「子育て平和都市宣言の街・稚内市民がいつまでも平和の尊さを語り、市民ぐるみで伝えあいたい」と述べた。
 遺族会を代表し事件で当時20歳の兄を亡くした川名正洋さん(56)が「兄は9月1日が誕生日。二十歳の誕生日を空で迎え、そのまま亡くなっていきました。きょうは兄の還暦祝いのつもりで点灯させて頂き、祈念の灯が世界平和の灯となることを願っています」などと述べたあと、参加者全員でドーム内に設置した100基、活動拠点センター前8基の108基の灯篭に火を灯し恒久平和を誓っていた。
 大韓航空機撃墜事件から40年という節目を迎え式典前にドーム内で遺族会の山口さんが「大韓航空機撃墜事件から40年を迎えて」と題し講演。親子連れらが世界平和を願い、ペットボトルで灯篭を作った。
 市、市教委など主催の第36回稚内市子育て平和の日記念式典が1日、悪天候のため大岬小屋体で開かれ、参列した200人が大韓航空機撃墜事件の犠牲者の冥福を祈った。
 遺族会や関係者が参列した中、工藤市長は「今年は40年の節目を迎え、例年を上回る折り鶴が寄せられており市民の平和に対する思いは一層強くなっています。稚内の歴史を風化させることなく子育て運動を通じて平和への意識を高め続けたい」などと挨拶した。
 遺族会を代表し、山口真史さんが挨拶したあと、市連合PTA子育て委員会の福原綾子さんが子育て平和都市宣言を朗読し、児童生徒6人が平和への決意表明をした。