時の話題 「ぴかどん」
「ぴかどん」というのは広島と長崎に落とされた原子爆弾(原爆)のことで、78年前の1945年(昭和20年)8月6日、原爆が投下された広島で生き残った子ども達が呼び、その後広まった。
原爆投下での死者は関連死含め40万人は下るまい。アメリカは戦争を終わらせるためと投下理由を述べるが、投下前の実験から壊滅的被害が出るのは予想できたことであり米国の人道上の良識が疑われよう。
原爆製造までの歴史的事実に触れると、第2次世界大戦下で米国が恐れていたのはナチスドイツが原爆を持つことだったが、ドイツはⅤ2などミサイル開発に傾斜したため大戦初期に考案した原爆製造は捨て置かれた。原爆には核分裂を引き起こすウランが欠かせず、そこで米国が目を付けたのはアフリカのコンゴのウランだった。この原石の実質的所有者はベルギー人の実業家で紆余曲折を経て、米国はコンゴ産ウランを全量獲得した。
その後の開発は天才科学者オッペンハイマーらによって推進され昭和20年8月6日午前8時15分、飛び立ったエノラ・ゲイ号は雲が無かった広島に人類最初の核分裂爆弾を投下したのだ。
沖縄ばかりでなく本土決戦を計画していた大本営本部は長崎への投下をもって15日の天皇陛下による終戦御宣言に至るわけである。
終戦後、米国を中心とする自由主義陣営に加わり経済優先の道を突っ走った日本。エコノミックアニマルとやゆされながら突き進んできた針路に誤りはなかったのか。何か大事なものを置き去りにしてきたのでないのか。