時の話題 「試される稚内」
高橋はるみ前知事の時代、「試される北海道」というスローガンが喧伝され、そのステッカーが事務所や飲食店ばかりでなく車体に貼る人もいた。
横道、堀さんと続いた革新道政にあって当時、道経産局長だった高橋氏を自民党や経済界が担ぎ当選した道政の中でのことで、ポテンシャル(可能性)は豊富なのに殻を破れない北海道全体に喝を入れようというキャッチコピーのようなものであった。
道政は高橋氏が知事を4期務め、次も官僚上がりの人が知事の座を狙ったが、当時、再建団体の夕張市長を務めていた鈴木現知事があれよあれよという間に金的を射止めた。
旧支庁再編など施策を実行しようとする高橋知事にとってもどかしいほど地域力を発揮しようとしない北海道を鼓舞する「試される大地」は道民に大きなインパクトを与えたのは承知の通りである。
高橋氏と同じく4期目の工藤広氏にとって稚内に対するジレンマの中で主張したのが新庁舎建設安全祈願祭での「道しるべ」発言である。新しい庁舎が未来の道しるべにならないのは自明で賢い市長が言い間違えることはない。実家(今の自宅)が中央地区にあり勤務先も中央ゆえの心奥が発露したのかな―とは思っている。
東西に長い〝ふんどし町〟の稚内の中心は今や中央ではない。いち早く「中央でない」との考えを実践しているのは増田稚内信金理事長で、この方、言葉数は少ないが肝所を捉えている。
試される稚内。過去に固執することなく融通無碍な対処能力が求められている。