時の話題 「伝書文化の衰退」

 インターネットなど科学技術の日進月歩によりこれまで人類の文明に大きな役割を果たしてきた紙の文化が廃れてきている。
 明治維新で前島密が基盤を作った郵便事業がここに来て転換期を迎えており日本郵便は全国津々浦々にある郵便ポストの一部廃止を検討しているという。数万どころか数十万、いや数百万カ所にあるかも知れないポストの中には1週間に一つも投函されていなくても職員は回収に回らなければならず、手間暇は相当なものになる。
 手紙やハガキだけでなく新年の挨拶として欠かせなかった年賀状の遣り取りを止める人がこの数年、急激に増えており、事を郵便事業に限れば厳しい状況にあり、ポストを削減するというのは妥当な判断と言えようか。
 先日、ローソンの稚内店オープンで挨拶回りに小社に立ち寄った日本郵便北海道支社の淨土英二支社長によると道内179市町村にある郵便局は1500(うち簡易郵便局400)。地域の隅々にあり150年以上もの間〝伝書鳩〟の役割を果たしてきた。
 ところが時代は変わり一人ひとりがスマホなど携帯電話を持つようになり電話やメールで連絡し合い手紙やハガキで連絡・報告し合うという面倒な事は無くなってしまった。
 淨土さんと話すなか「元旦の年賀状は止めようかと思っています」と言うと彼は「日本人にとって年賀状は大事な文化」と述べていたが、文化というのは時代の変遷の中で消長するものであり致し方ないのかなとは思う。
 伝書文化の衰退は日本文化の凋落に繋がる事態で危機感覚える。