時の話題 「風の街ゆえの産業」

 きのうの風はすごかった。稚内郵便局本局の縦通りに海から吹く風で歩けないほどになり強風に慣れているとはいえ魂消た。
 しかし、この風が稚内に大きな恩恵をもたらしており、国の助成含め1050億円もの一大プロジェクトが完成し、先日、竣工式が執り行われた。
 風力発電の最適地といえ札幌など消費地への送電線が足りないのが稚内の悩みの種だったが、国内最大手のユーラスエナジーホールディングス(東京)など出資する北海道北部風力送電㈱が稚内~中川町まで延長78㌔に送電線を張り、更に豊富町に世界最大級の蓄電池施設(総蓄電量72万㌗)を建設。2年後の25年までに稚内、豊富幌延で建設される新たな風車127基分を余すことなく直接送電すると共に蓄電し送電するという事業は、工藤市長が常日頃述べるよう稚内のポテンシャル(可能性)を更に高めることだろう。
 巨大プロジェクトによる稚内などへの経済的効果は大きく、この3年以上、建設に携わる作業員の生活を支えるべく宿泊先や食料品購入などでマチの経済はどれほど潤ったことか。コロナ禍で苦しい経営を余儀なくされていたホテルなど宿泊業者にとって大きな助け船となった。
 コロナ禍が明けようとし稚内のホテルにも海外からのツアー客が宿泊しているようだが、このように塗炭の苦しみを舐めた業界の回復と水産など堅調な基幹産業も相俟って風力発電による重厚な産業がある稚内の行く末は他市に比べ恵まれており、人口減少という目下の課題にも対処できるのでなかろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です