時の話題 「人生うたかたか」
泡がはかなく消える様子を鎌倉時代の鴨長明が「方丈記」で「よどみに浮ぶ泡沫はかつ消えかつ結びて」と著している。宴の跡の侘しさにも通じる人の世の憐れは昔も今も変わらない。
2019年以来4年ぶりに人流が普通になったGWを振り返りつくづく思料したのは泡沫の宴だったのかという事である。
この何年間、GWに遠方まで出掛けることがなくなった。子供が小さかった時には行楽地に行ったものだが、息子2人が社会人となり独立し家族を持ってからは孫に会うため逆にせっせと出掛けたものの、今では息子の家族が我が子を見せに祖父母のいる当地を訪れるようになった。コロナ禍でもあり出無精になったのも事実だ。
禍中の縛りも緩められ解放感に浸り何処も彼処も行楽地は大賑わいで、外国人ばかりかマスクを外した日本人も多く見られた。
災禍の初期、北大に務め何かと悲観的な予測データを発表し一部でひんしゅくを買った西浦博京都大教授は第9波到来は十分あり得ることと警鐘を鳴らしている。
WHO(世界保健機関)は5日、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言を終了するとの宣言を出すもテドロス事務局長は「世界的な公衆衛生に関する脅威が取り除かれた訳でない」と述べており暫くはウイズコロナの社会経済活動と生活様式を続けなければならないだろう。
人生なんて泡沫に過ぎず幻のようなものと片付けてしまうのは乱暴な話である。幻であればあるほど人生がつまらない事になるではないのか。本当に。