時の話題 「後の先」

 後の先。大相撲で69連勝した名横綱双葉山の言葉である。一瞬、立ち遅れたとしても相手より体勢が低いため最終的にいい体勢になる取口を表現したものである。
 慌てることなかれ。相手(他の人間)が先行しようが好機を待てば何時の日か越えることもある―と筆者は理解している。
 最多の45回も賜杯を手にした大横綱白鵬関も参考にし相撲を取る際、肝に銘じていたようだが、双葉山関に比べ白鵬関はどっしり感がなく、どちらかと言えば大鵬関の取口にそれを感じた。
 双関は70連勝が途絶えた時にも「我、木鶏なりえず」との名文句を残している。木で彫った鶏(闘鶏のことだろう)のように相手のどんな動きにも微動だにしない心持あれば負けることはなかっただろうと悔やんでいるがロボットじゃあるまいし生身の人間が勝負事に勝ち続けることはない。
 個人的に双関の、この二つの処世訓が大好きで事あるごとに思い返すよう努めるも現実には冷静さを失い刹那な対処をしてしまう。
 古希も近いのに未熟である。
 ところで今、知事選道議選たけなわだが、現職は自分の方が優勢かなと見ても心配尽きず、対する相手は不利ではあるが捲ってしまえと血気盛んで、心積りでは新人の方が勝っているように思える。
 政治家というのは普段からの行動が重要で市民に寄り添うクレバーさも絶対条件。迎合主義に見られようが、己が行く道に迷いなきこと肝要か。
 3日後には声と心を嗄らした末の勝負の審判がくだる。

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