人生最後の大仕事に挑戦 稚内大谷高校校長 平岡祥孝

 稚内大谷高等学校に着任して、1年経とうとしております。一昨年の初冬、稚内大谷高等学校を擁する稚内大谷学園吉田幸麿理事長(当時校長兼務)から「選ばれる学校にして欲しい」との要請を受け学園理事職と高校校長職をお引き受けしました。昨年度までは札幌大谷大学社会学部に在職して、真宗大谷派関係校の高大連携事業の一環で出張講義に7年間出講しておりました。ご縁をいただいた限りは、これまでと同様に地域社会のご理解とご支援をいただきながら、日本最北端に位置する私立学校の改革という重責を担うことになった次第です。
 少子化が進行する中にあって、中学校教員あるいは中学生やその保護者から選ばれるためには、魅力を感じてもらう条件を整える必要があります。言い換えれば、それは教育・支援の差異化・差別化戦略に基づいて「学校価値」を向上させることです。具体的にな取り組みとして、教育内容や教育方法・支援方法等のソフト整備と施設等のハード整備を並行して進める必要があると私は考えました。
 大学進学を視野に入れた文理専攻と、地域社会で人材として活躍してもらう地域探究専攻を開設したのはそのためであります。文理専攻は大学受験に特化した予備校型の授業ではなく志望分野に関係なく文系科目・理系科目の基礎を固める「身の丈に合った文理融合」の学びができます。進学を意識した選択科目を充実させるとともに、その履修を保証しました。また、札幌からも教育経験豊富な講師を招いて特別講習も開講しています。ちなみに私も同専攻の授業や個人指導をお手伝いしています。
 地域探究専攻は学びを通して、基礎学力を定着させつつ社会人として基礎力を養うことに主眼を置いています。普通科では福祉系・工業系(電気・土木)分野の資格取得ができます。これまでも地域社会から高い評価を得ている資格取得をさらに拡充させて行く所存であります。
 より一層校内での学びの時間を充実させるためにも、新たに開設した図書学習室の充実をはじめとして、計画的に各施設を部分的改善・改修を施し、学び舎の基本品質を高めるべく、利便性の向上と清潔感の維持を図っていく予定であります。
 第95回記念選抜高等学校野球大会21世紀枠候補に選ばれた本校は今年、創立60周年を迎えました。仏教精神に基づく人間教育を基盤としつつ、伝統と実績を誇る課外活動と、私学独自の特色ある教育課程による学習活動を両立していく学校づくりを通して、地域密着型小規模校であっても地域から愛される個性豊かな高校としての意義と価値をさらに認めてもらう努力を傾ける決意です。
 教育に焦点を当てた学校改革は緻密かつ着実な取り組みが求められますが、厳しい経営環境ゆえに時間軸も考慮しなければなりません。地域連携を大切にするとともに教職員との対話を心掛けて、私学人生最後の大仕事に挑戦してまいります。

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