稚内商工会議所主催新春経済懇談会 難局乗り越え発展誓う
稚内商工会議所主催の新春経済懇談会が6日午後、サフィールホテル稚内で開かれ、各界代表者が新年の抱負と地域経済の発展に向けた思いなど語った。
170人余りの参会者を前に中田会頭は「新型コロナ影響の長期化に加え、エネルギー物価上昇など経営環境が極めて厳しい中、地域経済を支え、事業の継続、雇用確保に向けて懸命な経営努力をされてきた皆さんに対し改めて深く敬意を表します」と述べ、基幹産業、再生可能エネルギーの供給基地である宗谷地域が生産空間を維持・発展するには社会資本整備は十分とはいえず、高規格道路の全線開通が実現し、豊富北から先の稚内までの20㌔の高規格化は稚内港、稚内空港へのアクセス道として欠かせず早期整備するよう求めた。
この地域のポテンシャルを最大限活用すべく進められていた送電網整備が計画通りに完了し、127基の風力発電施設の整備が着実に進められ、道内最大級の大規模発電施設が形成されることに期待を示し「社会経済環境は予断を許さない状況にありますが、難局を乗り越えた先にある力強い成長を実感できるよう地域と共に行動して事業を推進してまいりたい」などと挨拶した。
続いて武部衆議が年頭所感を述べ「経済と社会をしっかり回しながら感染防止をやっていくウィズコロナの政策、物価高騰対策など必要な対策はしっかりと取らせて頂きます」、工藤市長は「コロナの感染対策で市民が安心するよう様々な対策をしてきましたが、ネジを巻き直して経済対策を取り組まなければならない」、吉田道議は「稚内市で進めている工事で西條稚内店前のクサンル川拡幅工事の予算をしっかり取ってくる。宗谷ふれあい公園の改修、電柱地中化工事など進めるため努力していきたい。卯年は飛躍の年といわれ、今年の景気が上向き、コロナも明けて前に進める年であることに期待したい」とした。
続いて佐々木稚内開建部長と辻井宗谷総合振興局長が祝辞を述べた。
そのあと平岡祥孝稚内大谷高校長が「宗谷の暮らしを考える~地域公共交通に関する一考察~」と題し特別講演し「点や線でなく面的に考える〝総合交通〟体系への脱皮めざし自治体間の連携を大切にJRと道路・空路のありようを多面的に捉え、当然、そこには道庁の支援が欠かせない」と述べた。
平岡氏は35㌻にもなる講演骨子をまとめた資料に基づき、JR宗谷線の輸送密度と収支を示し「JR北海道単独での存続は困難」とし、鉄路だけで考えるのでなく都市間バスや稚内・丘珠空港間の航空機運航を視野にした面的な総合交通を推し進めることが医療を含め宗谷管内に住む人々の利便性に寄与することになるとした。
名寄市に高次医療を依存している現状から宗谷では心疾患等に対処できず稚内市、豊富町は心疾患での死亡率が高いことも申し添えた。そのためにも国などへの予算要求では総花的でなく一つ二つに絞った対応が求められるとし、陸路の速達性・確実性を向上させる上で必要不可欠な旭川・稚内間の高規格化道路建設を急がなければならず、高速道路も規制速度緩和(例えば時速120㌔走行にするなど)も必要だとした。