時の話題 「至便だからこそ」
井の中の蛙大海を知らず。世間知らずで見識が狭いことを指す諺だが、稚内など地方に住む人をやゆする言葉でもある。
人間というのは一所に止まり長年暮らしていると世間を近視眼的に見る傾向が強くなりがちになるので鳥のように俯瞰的に見る方がより良い解決策を見出せるだろうとするものである。
が、どうだろうか。今のインターネット時代に当てはまるかというと疑問符がつく。その場に居ずして仮想現実を体験できる現代人にとって昔ながらの体験主義は現実にそぐわなくなっているのではないのか。
筆者なんぞは体験主義者で色々な事に遭遇するのがよりベターだと結論づけがちで、確かに経験した事に助けられたことはある。
しかし今はとなると薄っぺらいパソコンで何もかも調べることができ、一時、情報の主な収集源だったテレビは隅に置かれネット検索で新しい情報を入手できるようになった。
そういう観点から論じるとテレビどころか新聞は今や遺物に近いような存在で、その考え方はネットを駆使する若い人ほど多い。
しかし、どうなのだろう。本当に時代遅れの無用の長物なのか。曲がりなりにも地方で僅か数千部しか発行していないものの新聞社を経営する筆者の答えは「否」である。
新聞、テレビ、ネット検索もする筆者だがまどろこしい面がある新聞だが、何がどうしてこうしてこうなったの起承転結を得るのは新聞が適しており、何でもかんでも至便な世の中だからこそ新聞の役割が高まっている気はするがね。