時の話題 「祝・誌齢600号」
宗谷管内唯一の月刊誌として1969年(昭和44年)の創刊から53年経った「月刊道北」が今年8月号で誌齢600号を迎えられたことにお祝いの言葉を述べさせていただく。
月刊道北は元々、弊社(プレス社)に居た高津信行氏が創刊し、その後、札幌の雑誌社に勤めていた信行氏弟の豊氏(現北方現代社社長)も「道北春秋」を創刊。数年間、2誌あったが合併し、「月刊道北」(発行会社は北方現代社)としてスタートとしたのが始まりであった。
兄の信行氏は文才秀れ新人作家の登龍門である芥川賞の第1次候補にもなりプレス紙で健筆を揮いながら当時の浜森辰雄市長に請われ「稚内市史」の編纂に携われた人だった。
現社長の豊氏は「北方ジャーナル」に勤めていた経歴もあり時局を鋭く捉えた記者魂もあり経営が難しいとされる月刊誌を60年近く維持してきたのは並大抵の苦労ではなかったであろう。
8月号で誌齢600号という金字塔を成し遂げたことを知りお祝いの電話をしたところ翌日、土産を持って来社したので世間話含めお話をさせて戴いた。
驚いたのは93歳という御年のことで「いつ野垂れ死にしてもよい」という高津社長の覚悟に触れ、「年を取ると何とも不自由で」と言うので、当方「身体的には何時から衰えを感じましたか」と問うと「90歳からです」と事も無げに言う。
営業をし執筆された上に年に抗う御労苦は想像を絶するものがあろう。雑誌の灯を消さぬようにと祈るしかないものの、今時、苦労を買って出る御仁もいないかも知れない。