時の話題 「沖底業界の憂鬱」

 稚内機船漁協の総会が開かれ、3月末締めの業務報告で所属沖底漁船の低調な水揚げにより事業自体としては赤字になるも出資配当金や賃貸料、保険金など事業外収益により2千万円以上の経常収益を計上した。「重要ないくつもの事業を総合的に展開した集合体組織であったからこそ幾多の苦境を耐え忍び続けてこれた」(風無組合長)との現実に、進む地球温暖化に今後対処できるのかと案じている。
 市場取扱高が1万6500㌧(前年対比31・4%減)、13億8300万円(同13・5%減)と、不漁ばかりでなく夏季のオオナゴ漁がオッター船のロシアによる不当だ捕・臨検により1カ月近く遅れたことが痛かった。
 サハリン警備局の不当だ捕は現下のウクライナ情勢もあり今年も懸念され、海洋環境だけでなくロシアの監視強化もあり底曳き網漁としては厳しい状況にあると談じざるを得ない。往時の沖底業界を知っているだけに断腸の思いにある。
 厳しい経営環境に見切りをつけ1隻廃業してしまい稚内港籍の沖底船は5隻にまで減ってしまった。ピークの60余隻の12分の1である。従って必然、水揚げ金額も14億円を下回りピーク時の5%ほどに凋落してしまった。
 船自体も2隻を除く3隻は老朽化しており更新するにしても将来へのメドが立たねば新造にしても中古船を購入するにしても決断できなかろう。
 水産業は未だ稚内の基幹産業として健在だが、ホタテなど沿岸漁に主役の座を奪われ沖底業界の展望は開けていない。稚内の沖底船団は過去の事なのか。

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