時の話題 「石原さん亡くなる」
作家と言っていいのか政治家なのか。衆目を集めた石原慎太郎さんが亡くなった。1932年(昭和7年)神戸に生まれ子ども時代の7年間、父親の勤務の関係で小樽に住んだことがあった。昭和の大スター・弟の裕次郎さんと共に海を愛したのはその時の影響が強かったよう。
作家としては苦節の時代なく一橋大学在学中に「太陽の季節」で新人作家の登竜門である芥川賞を受賞。裕次郎さんは映画「太陽の季節」で役者としてデビューした。
その後も精力的に創作活動を行った彼が本領を発揮したのは政治の世界だった。参院選全国区でトップ当選したあと衆議になり、運輸大臣など閣僚を務めるなどしたが、彼の名を高めたのは渡辺美智夫氏、中川一郎氏らと結成した「青嵐会」でのはじけ振りで、平成7年に議員勤続25年表彰を受けたその日に衆議を辞職。その後、同11年に都知事選に出馬し4期途中まで知事を務め、ディーゼル車規制や大手銀行への外形標準課税導入など革新的な都政を遂行する。
他方、自らが創設した新銀行東京が破綻し、今や中国との間で最大の懸案となっている尖閣諸島の都購入を宣言(そのご国有化)するなど何かと物議を醸した政治家だったが、筆者含め衆目が注目する稀代の政治家だったことには違いない。
筆者が20代だった頃に上梓された「化石の森」(映画化もされショーケン=萩原健一=が主演)は淫靡な男女の世界を描き彼に傾倒したのを覚えている。
人生への影響も強く歯に衣着せぬ物言いするのはそのせいかなと思っている。