コロナ収束し経済発展 商工会議所 新春経済懇談会開く

 稚内商工会議所主催の新春経済懇談会は6日午後、サフィールホテル稚内で開かれ、各界代表者がコロナの収束を願うと共に、地域経済発展への思いなど語った。
 出席した来賓や会員ら180人余りを前に中田会頭は「コロナ禍で影響を受けてきた飲食業、宿泊業などの業界も感染者の減少で徐々に落ち着きを見せ始めていますが、予断を許さない状況で感染防止策を徹底し、一日も早い社会経済活動の力強い再開と復活を願う」と述べ、今年一年については観光振興で稚内観光協会が中心となって登録を目指すDMO(観光地域づくり推進法人)で滞在型の受入強化、北宗谷全体の誘客促進を図る。来年度末に完成予定の送電網事業と並行して127基の風車建設などが進められることに期待を示し「コロナ禍で社会経済環境が刻々と変化する中、柔軟かつ適切に事業活動を展開していきたい。一日も早く平常な社会を取り戻し皆さんにとって実り多い一年となるよう祈念します」などと挨拶した。
 続いて年頭所感として武部衆議が「コロナ対策で治療をしっかり受けられる医療体制の構築を進めなければならない。経済が倒れてしまっては日本がダメになり、経済対策を両立させコロナと上手く付き合いながら経済を立て直さなければならない」、工藤市長は元旦に宗谷岬であった初日の出イベントに行ったことに触れ「来場した皆さんに寅年で逆境にめげないで挑戦する年にしましょうと挨拶しました。コロナの収束が見通せずダメージを受けている経済状況ですが、今年は逆境を克服する取り組みを強く意識しなければならない」、吉田道議は「今年は稚内郵便局から真言寺までのバス通りの無電線化工事を進め、宗谷ふれあい公園の大改修工事を予定している。寅年で勢い良い年になってほしい」と夫々述べていた。
 来賓の中嶋稚内開建部長は「防災・減災の国土強靭化の推進、食と観光を担う生産空間の発展などに取り組んでいきたい」、辻井宗谷総合振興局長は「宗谷が誇る雄大な自然を活用した登山やサイクリングなどを取り入れたアドベンチャーツーリズムの推進、地域産品の販路拡大などに取り組んでいきたい」と述べた。

「電力会社は未来への投資 特別講演で石塚氏強調」

 新春経済懇談会の掉尾を飾り稚内商工会議所常議員(かぜ部会)で石塚建設興業社長の石塚英資氏が登壇し、3月末には設立される地域新電力会社「北風と太陽エナジー」(仮称・英語表記North Wind&Solar Energy)について小一時間、特別講演した。
 稚内商工会議所の稚内版地域戦略ビジョンから始まった稚内での電力会社設立の眼目は地域で発電した電力を地域に還元、言うところの「再エネの地産地消」だとし、風車3基と蓋電池による電力を萩ケ丘浄水場など公共施設20カ所への2022年度中の供給開始を目指し、将来的には事業所や一般家庭にも供給する。
 この中で石塚氏は、国内の地域電力(773社)の成功例と失敗例を挙げ、稚内の地域電力会社について▽持続可能な経営と成長性▽公共性と透明性の確保▽北電と再エネ事業者との親和性▽稚内商工会議所の目指す地域振興のためのツール▽地球温暖化防止など環境と地域経済の好循環を目指す―とし、「何よりも稚内市民に再エネの地産地消を実感して戴きたい」と強調していた。
 新会社の資本金は5500万円。株主構成は民間54・5%、稚内市23・6%、エネ会社21・8%とし、事業開始(電力供給)は今年10月からの予定。
 電力会社の目指す未来について①エネルギー販売、省エネ事業②環境・資源再生の取組み③水素の製造と利用などに加えデータセンターを誘致したいとした。
 石塚氏は「新電力会社は稚内市の地域振興を支える投資と考えており、市民はじめ経済界のご理解を賜りますよう申し上げます」と最後に述べていた。

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