看護師集団自決描く 大学生制作の映像 「地方の時代」で入選
全国規模のドキュメンタリー映像の祭典「第41回地方の時代」で稚内北星大学の学生が樺太にあった炭鉱病院で勤務していた看護師が集団自決した事件を取り上げ制作した作品「あの日、ニレの木の下で」が市民・学生・自治体部門で入選。
日本放送協会などが主催する映像祭には、全国から4部門に300近い作品が寄せられた。今年は市民・学生・自治体部門で10作品が入選した。この中から11月中旬に関西大学で開催される映像祭でグランプリ、優秀賞などの各賞が決まる。
大学の映像制作の講義で3年生5人が制作した作品は、終戦後の1945年8月17日未明、樺太北部に位置する恵須取町(現ウグレゴルスク)の太平炭鉱病院で働いていた看護師23人がソ連軍の進攻を恐れ、太平から約8㌔ほど離れた武道沢という山中のニレの木の下で集団自決し6人が亡くなった悲劇について、当時の事に詳しい写真家の斉藤マサヨシさんや生存者の人に取材した内容など31分の映像で描いている。
入選作は現在、副港市場2階の樺太記念館で上映されており、学生から取材を受けた斉藤さんは「樺太の集団自決で9人の乙女の事件は皆さん知っていると思いますが、炭鉱病院看護師の事件を知る人は少なく、我々大人はこのような事件が二度と繰り返さぬよう後世にしっかりと教えていかなければいけない」と話していた。