時の話題 「不漁のまま終漁」
今年のオオナゴ漁が終漁した。漁期は6月~9月末だが、ロシア警備局に臨検されたことから例年より1カ月遅れの6月下旬から操業を始めたオッター船第172榮寶丸の漁が振るわず、漁期を1カ月残し切り上げた。
387㌧(昨年8月末対比89・6%減)1672万円(同88・8%減)。昨年同期に比べ1億3300万円減というのは船主の泉漁業部、稚内機船漁協とも頭が痛いところだろう。1カ月遅れの着業とはいえ平成26年(2014年)の416㌧をも下回る低調な漁獲は時を失することの教訓として捉え、来年以降は不測の事態なきよう願いたいものだ。
今年の沖底漁水揚げはシケ早い1、2月を除き月1600㌧~3800㌧上場し、夏枯れ時期はオオナゴ漁でカバーする目論見はオッター船臨検によって外れてしまった。
9月になるとオオナゴの水揚げが極端に減り漁を切り上げるというパターンがこの十数年続いているのでホッケなど他の魚種の操業で頑張るしかなく、11月にもなるとシケ早くなるので、この9、10の2カ月が勝負となろうか。
コロナ禍という外因によって価格は低迷しているものの、ホタテやナマコ、コンブなど沿岸漁は先ず々々なようで、ナマコは㌔4千円台まで回復しているように側聞する。
コロナによって観光業が塗炭の苦しみに喘ぎ、土木建設業も人手不足や資材高騰によって利益水準が押し下げられている状況にあって、漁業と酪農業は堅調のようだ。どこかが不調になっても他がサポートするという足腰強い経済循環が望まれる。