時の話題 「苦戦する募集」
いわゆる65歳までの現役世代の人口が確実に減っているのだから人を募集しても集まらないのは必然で、それは国家を支える官僚、地方自治体の職員にまで及ぶ。
稚内市は来年4月採用の職員(大卒・短大卒)を募集している。事務職5人、社会福祉士1人、保健師1人、土木技術職2人の9人程度募集し、7月9日(郵送の場合7月6日消印有効)まで出願を受け付ける。
そう遠くない前、公務員は引っ張りだこで軽く数倍の競争率になったものだが、今は以前ほどの人気はなく、難関を突破し職員になっても「思ったこととは違う」、つまり自分が思い描いた理想とは違うとして意図も簡単に辞めてしまう職員が何人かいる―と川野副市長はぼやく。
市役所でさえ、こうなのだから民間、とりわけ小社のよう休刊日(日曜・祝日)も満足に休みを取れない会社への応募(記者職)が無い訳である。
それでも民間に比べると公務員志望は根強いのだが、転勤がある道の若手職員の中には地方勤務を嫌っての退職が増えており、学校の先生にも地方への赴任を敬遠する若い先生が増えているそうだ。
少子化によって新陳代謝すべき年代と高齢者への切り換えが難しくなり、国は今、段階的に定年を65歳以上にも引き延ばそうとしている。少子高齢化社会の到来は分かっていた訳だから早めに対策を打っていなければならなかったのに、ただまんじりと放置に近い状態に置いてきた国の責任は重い。地方の実情を知る自治体が正面に立って率先する時に来ているようだ。