食料など領事館通し補給 榮寶丸の持病ある船員の薬補充も
稚内機船漁協所属のオッター船第172榮寶丸(160㌧)がロシア国境警備局にだ捕された問題で、風無組合長らが31日、会見を開き、乗組員14人は全員無事であることなど現在の状況の報告があった。
28日にサハリン州コルサコフ港に連行されて以降、ユジノサハリンスク市にある稚内市サハリン事務所や北海道サハリン事務所、在ユジノサハリンスク日本総領事館などから情報収集しているが、乗組員全員が無事であること以外は新たな情報はないものの、乗組員14人のうち持病がある70代の乗組員1人の常備薬が切れる恐れがあり、今後は関係機関と連携しどう薬を届けるかを検討し、船にある水や食料については2~3日分しかなく今後は現地の領事館などを通じて補給していきたいとした。
榮寶丸が操業していた海域について記者の質問に答えた風無組合長は「GPS(衛星利用測位システム)や僚船から確認した航行ルートで榮寶丸は日本の排他的経済水域で操業していたことを自信を持って言える」と述べた。
会見に同席した第172榮寶丸の早期解放に向けた市連絡本部長の川野副市長は「市民14人が抑留され、御家族が心配されていると思いますので、一刻も早く乗組員と共に船が解放されるよう関係機関と連携しながら努めていきたい」と述べた。
「市が連絡本部設置 機船に職員1人派遣」
稚内市は第172榮寶丸の早期解放に係る連絡本部を立ち上げ、30日に開いた本部会議で国や道など関係機関に対し早期解放に向けた働きかけをしていくことを確認した。
連絡本部は川野副市長を本部長に、サハリン課がある企画総務部、水産課がある建設産業部の課長職以上の幹部職員らで構成され、当面の間、水産商工課職員1人を連絡員として稚内機船漁協に派遣し、漁協への必要な支援を行う。
会議では企画総務部がサハリン事務所などを通し現地の情報収集に努め、建設産業部は漁協などとの情報共有を図り、連携を図りながら関係機関への働き掛けによる乗組員の安全確保、早期解放の実現に向け対応していくことを確認した。