時の話題 「心に残る報道」
きのう朝のNHKテレビで東京で路上生活し男に邪魔だと殺害された64歳の女性のこれまでの人生を追跡したニュースをやっていたが、広島にいた若い頃が華やかで頑張り屋さんだっただけに移ってきた東京での悲運に接し涙した。
若い頃、彼女は広島の市民劇団に所属し、明るく快活な人柄もあって友人も多く、何よりも写真を見ると美人だった。
広島から上京したのは女優とか目指したのであろうか。結婚したが1年ほどで別れ、その後、職を転々とし、コロナ禍という災厄に見舞われ雇い止めに遭い路上生活を余儀なくされたのだろう。
広島時代の劇団仲間がテレビに出て「この数年、手紙を出しても何の連絡なく心配していた。まさか路上生活をしているとは。幾らかでも相談相手になり支援できたのに」と声を詰まらせていた。
筆者がこのテレビを見ていて思ったのはNHKという報道機関の底力だ。NHK会長の現政権の近さを批判する識見あるも記者(遊軍だろうが)個々の事件というより「どうして路上生活者になったのか」という肝心なテーマに迫ったのは天晴という表現しかない。さすがNHKである。
それに比べ(比べようがないが)小紙は。日々の取材に追われているとはいえ市民生活の機微に触れた記事を載せるよう努めなければと肝に銘じている。
人にはそれぞれの人生があり、その中には勝ち・負け含め言い尽くせぬ人生がある筈で、読者の皆さんに感動を与えるような紙面作りに百尺竿頭一歩を進むの精神で臨んでいきたいと思っている。