時の話題 「人の死」

 慌しい初仕事となり稚内市政功労受章し稚内商工会議所副会頭など務め稚内経済の発展に尽力した前田義彦氏が亡くなった。普段通りの生活をするなか89歳で静かに息を引き取ったという。
 生前、個人的には年も離れていることもあって親しいお付き合いはなかったものの、何かしら理知的だが、眼鏡越しの目に鋭さを感じる方であった。ご冥福をお祈りする。
 そして筆者にとって雀友で現役記者時代にもお世話になった山田貢氏も目を閉じた。
 強気なマージャンを打つので相手としては手強い雀士の一人だった。他人に対し労りの心持がありヘソ曲りの筆者にも何かと気を使って戴いた優しい人でもあった。
 疾患があり体調が勝れないのを聞いていたが、まさか逝ってしまうとは。断腸の思いをしている。
 個人的には未だ60代半ばなのだが、交友していた人に年上の人が多くいたこともあり、訃報がこの数年来、格段に増えている。
 人間には寿命がありある程度の歳になると旅立つのは分かっていながら自らの人生の一こまを彩った人達が目の前から居なくなるのは淋しいことである。そういう事では妻ともども父母を亡くし、身内の不幸にも接する中筆者とてあと何年、この世に居る事ができるのか―などとあれこれ考えてしまう。
 新年早々、辛気臭い話になってしまった。コロナの餌食にならなくとも来る時は来る。他人の訃報に接し思うのは「生きていればやりたい事があっただろう」。
 だけに悔いの無い人生をと思っている。

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