時の話題 「鬼に金棒の教育」
過日、亡くなったノーベル賞物理学賞を受賞した小柴昌俊さん(94)の事で朝日新聞の天声人語に一時期、教壇に立った中学校でのエピソードが書かれてあったので読者の皆さんに御紹介しよう。
「この世に摩擦というものがなくなったらどうなるか。記せ」との試験問題に「摩擦がなければ鉛筆の先が滑って紙に字は書けない」という答えというのか説明を用意したというのだから驚いてしまう。類稀な発想力があってこそのエピソードではある。
おそらく生徒全員が「摩擦なければ喧嘩をしないし、戦争もないし平和になる」などと認めたであろう。
科学・化学だけでなく経済も政治も普通の考え方ではただこれまでの有り様を踏襲するだけで進歩はない。そこには逆転の発想というのか常識に捉われない思考が必要で、変人とか何かと言われようが己が信じる生き方をして行く人がその道を極め名を永遠に遺すことになるのだろう。
小柴さんは東大在学中も本人曰く「ビリで卒業した」言うよう決して優秀な学生ではなかったのだが他人とは違う考え方の持ち主だったのには違いない。
日本の教育は暗記中心の詰め込み教育から〝ゆとり教育〟に一時舵を切ったが、どうも子供たちばかりでなく教える側の教員も〝ゆとり〟という幻想に惑わされ、今や日本教育ランクは世界の中で相当低いところまで下がってしまった。
いずれノーベル賞を受賞するだろうと言われる山本尚さんも日本の教育現状をBSテレビで嘆いていた。
優秀かつゆとりがあれば鬼に金棒だがね。