時の話題 「浮世離れ」

 明8日は「寒露」。1カ月に2節ある二十四節気は稚内など北国では秋~冬にかけては現実に即しており、晩秋~初冬の間の露である寒露の頃になるとそろそろ冬仕度だ。大沼にもハクチョウが飛来し今月末には3千羽以上の渡り鳥で湖面は埋まる。
 ハクチョウの先発隊は昨年より1週間ほど遅く秀峰利尻富士初冠雪のニュースも未だない。いつもの季節に比べ秋から冬への移行がスムーズでないのは生活している我々にとって喜ばしい事ではあるが、季節感という観点からは余りのズレは風情を損い興趣に欠けつまらない。
 要はこれまで通りに季節が移ろえば祝着至極であるが、今ある社会の現実とは懸け離れてしまい、普段、事あるごとに「踏襲はいけない」と主張している筆者の考え方とは事を異にする。
 日本学術会議会員の推薦名簿のうち6人を菅総理が拒否する。1980年代の中曽根内閣の時、承認は型通りのもので学術会議から上がった推薦者に異議を説える事がないとした不文律が打ち消されようとしている。
 まさに踏襲を是としない菅さんの面目躍如といったところだが何も目くじらを立てる事ではあるまい。季節の移ろいのように眺めればいいだけの話だ。
 鋭く切り込むところは他に数多あり象牙の塔然とした科学者の集まりに茶々入れるものでもなかろう。
 学術会議といえば今週はノーベル賞ウィークである。日本人の3年連続受賞(この稿は6日午前中執筆)はあるのか。浮世離れするのも善しとする度量が必要だ。菅総理様へ。

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