時の話題「菅さんの野心」
勝負事というのは分からない。強いからといって常に勝つわけでなく、例えばプロ野球で一流選手と評価される3割打者は10回の打撃で7回は凡打する。
そんなもんだと思えば向きになることもなく言ってみれば達観するのだろうが、凡人の我々は失敗するごとに取り返そうとし悶え苦しむことがある。
安倍総理の退陣表明を受けた自民党総裁選は大方の派閥相乗りの菅官房長官が圧勝し、きょう首班指名を受け総理大臣に就任する。
派閥に属さない菅さんが総理になった原動力は7年8カ月もの歴代最長の安倍長期政権を下支えした事であろうし、昨年4月の天皇陛下生前御退位に伴う新元号「令和」を発表した〝令和おじさん〟としての知名度も関係しているのだろう。
高校卒業後、秋田から上京し民間工場に就職も数カ月で辞め、何の縁なのか、国会議員秘書を10年以上務め横浜市議に。8年間の市議のあと国会議員になったという秀吉型で立身出世した人だ。
筆者思うに安倍政権の陰の総理は菅さんだったのでないか。柿が熟すのをじーっと待ち勝負所で仕掛ける。岸田さん、石破さんとは違うところだ。
組閣は派閥に捉われないと言っているが、結果的に派閥均衡型人事になるだろう。自民党にはそれだけ優秀な人材と言わずとも当選回数を重ね3割打者然とした人材が多いということになろうか。
2世、3世議員でない菅さんは心に期すものがある。それは暫定政権に終わることなく本格政権を目指そうとする野心だ。めらめらと燃えるような眼光の鋭さにそれを見る。