市に副港市場一部を譲渡 市議会開き市長が今後について説明

 工藤市長は11日開かれた市議会全員協議会で、9月末で閉鎖される予定だった副港市場について、運営会社の副港開発から稚内市が施設の一部の無償譲渡を受けたことを明らかにし今後の運営方針など説明した。
 市は土産店などがテナントとして入る市場棟、イベントなどを開く石蔵、土地などを譲り受けることになり、これまで副港側からの無償譲渡打診に慎重な姿勢を示していた工藤市長だが、新型コロナウイルス終息後の市内経済の回復を考えた際、市が保有する港ギャラリー、樺太記念館や観光客が利用する市場棟などをこのまま放置することは本来の設置目的が果たせなくなるとして、関係者から市へこれまで以上の関与を求める声もあり、一定の方向性を示さなければならないと判断した結果として今回、無償譲渡の申し入れを受けたもので、市が関与に踏み込んだ理由の一つとしてコロナの感染拡大による経済状況を踏まえ、今後も当事者間だけでの施設の交渉は難しいとし「平成19年の開業以来、観光拠点づくりと市民が楽しめる空間づくりなどの役割を担ってきた副港市場の閉鎖に追い込むことは避けなければならない」などと語った。
 運営方法については過去の様々な経験を踏まえ、商業施設の経営には民間のノウハウを導入することが最適だとし、テナントなどが入る市場棟は民間事業者に経営を委ね、これまでの市場機能や観光客を中心とした食事提供などを必ず行わなければならないことを条件とし、年内には公募を前提とした売却により民間参入に取り組んでいくと説明した。
 港ギャラリーや樺太記念館については、これまで同様に市が直接運営する。石蔵については様々な利用の可能性があり、施設の駐車場は市が所有することになり、施設と駐車場を一体で運用していくことで安定した施設運営を行うことができるとした。
 温泉施設「港のゆ」とレストラン「底曳船」は副港開発の親会社で中田組が譲渡先を探しており、市としては交渉に当たっては協力を惜しまない考えを示した。
 これらのことを説明した工藤市長は「14日から開催される9月議会に、民間の参入に必要な手続きの期間などを想定し、今年度に発生する施設管理費などを追加提案させていただきたい」などと述べていた。

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