河川氾濫し浸水 稚内市 100㍉超える記録的な降雨
台風4号から変わった低気圧の影響で稚内地方は7日午前、100㍉を超える記録的な雨が降り河川が氾濫し道路などが冠水した。緑、港、大黒、恵比須地区など1620世帯2743人に避難勧告が出され住民が避難した。
稚内地方気象台によると、7日午前1時半過ぎに大雨警報、4時間半後に土砂災害の危険度が高まっているとして土砂災害警戒情報が発表された稚内地方は、7日明け方から午前10時過ぎまでの雨量が宗谷岬で110㍉、開運106・5㍉と観測史上最大の雨量を記録した。
午前5時過ぎから1時間で30㍉前後の激しい雨が降り、港~末広地区のクサンル川、港~末広地区のチララウスナイ川、恵比須2の青少年会館横を流れるシュルコマナイ川などが増水し付近の住宅街などの道路が冠水。川沿いとなる緑地区の130世帯250人、港地区368世帯621人、大黒地区824世帯1300人、恵比須地区280世帯492人、東浦地区18世帯80人に避難勧告が出された。
河川の氾濫で床下浸水の恐れがあった川沿いの住宅地では土のうを玄関前などに積む作業が行われ、住人は「何年か前にも同じように川が氾濫した。朝方にかけて激しい雨で恐かった」話していた。
記録的な大雨により排水が追い付かず、市内の至る所で道路が冠水し車は水しぶきを上げて走行し、排水溝やマンホールから雨水が溢れ出ていた。
大雨のピークは夕方までだが、大気の状態が不安定となっている影響で断続的に雨が降り、稚内地方は8日朝までに150㍉の雨が予想され、土砂災害や低い土地の浸水などに厳重な警戒を呼び掛けている。
「早々避難する家族れも 市が12カ所に避難所設置」
大雨などにより7日対策本部を設置した稚内市は、市内12カ所に避難所を開設した。
宝来地区活動拠点センターには午前7時過ぎ、地域住民ら12人が自主避難した。宝来5の親子連れは「家の裏が山なので、土砂崩れが恐く直ぐ避難してきました」と話し、森林公園キャンプ場から避難してきた千葉県の70代男性は「今朝、警察官に避難してくれと言われ急いできた。朝方はすごい雨だった」と話していた。
避難所が開設された緑体育館には、緑、大黒地区の住民6人が避難勧告を受け避難していた。
大黒地区に住む60代男性によると、近くのクサンル川が氾濫しそうだったため、市立図書館へ避難したが、図書館も浸水の恐れがあるとして緑体育館に移動し「川を見たら水が溢れそうな状態で急いで逃げてきた」と話していた。
緑地区に住む40代女性は「朝、市の広報車で状況を知り避難してきました。数年前の大雨を思い出しとても恐い。早く収まってほしい」と話していた。
「市内55カ所の施設臨時休館」
大雨の影響で文化センター、青少年科学館旧瀬戸邸など市内55カ所の施設が臨時休館した。
「国道と道道一部通行止め」
大雨による道路冠水などの影響で国道と道道の一部が通行止めされている。
国道40号の大黒2~中央2までの延長2・3㌔ほか、道道抜海港線の西浜4~富士見4の延長5・2㌔、恵比須1~5の延長300㍍は冠水の恐れがあるため通行止めされた。
いずれも7日午後0時半現在。
「市内線などバス運休」
大雨により宗谷バスの市内線と天北宗谷岬線は、7日午前9時半以降の全便を運休した。
フェリーの利礼航路も全便欠航した。
「災害対策宗谷地方本部設置」
宗谷総合振興局は7日午前7時、災害対策宗谷地方連絡本部を設置し対応に当たっている。
浜頓別、中頓別、枝幸、幌延を除く6市町村で避難所が開設されているが、人的被害などの報告はない。(午後1時現在)