小康保って29件 道北昨年倒産 稚内ではサンホテル
東京商工リサーチ旭川支店は、昨1年間の道北地方(奈井江以北)の企業倒産を集計した。負債1千万円以上の倒産は29件(前年30)あり負債額48億536万円(同82億2142万円)。
平成入り最少だった28年の28件についで2番目に少なく、負債額も26年の46億9492万円に次いで2番目に少なかった。
地域別では旭川市19件(前年17)、宗谷管内4件(同2)、北・中空知管内4件(同9)、上川管内2件(同1)で、留萌管内は0(同1)。
業種別では卸・小売10件(同4)、サービス7件(同10)、建設6件(同8)、製造3件(同2)、運輸・通信1件(同2)など。農林漁業は0(同2)であった。
資本金別では1千万円未満が13件と全体の44%を占めるなど零細企業が自然淘汰される形での倒産が多かったのが昨年の特徴であった。
企業倒産が沈静化しているのは中小企業金融円滑化法が平成25年に終了した以降も実質的に金融支援が維持されていることに加え、会社更生や民事再生といった法的再建でなくコンサルタントなどと協議の上での会社分割などソフトランディング方式が多くなっていることによる。
一方、休・廃業や解散が年間2千件ほどと高止まりしている背景には金融支援に甘んじ抜本的再生を先送りしてきた企業の市場からの退出が含まれているのは否定できず、1千万円未満の少額負債による休業・廃業がこの中に含まれている。
金融機関はリスケ(返済猶予)や融資に応じ事業性評価に基づく貸し出しにも取り組み始めており企業の成長性への支援に転換している。
貸し出しの利ざやが縮小する中、収益構造転換も迫られており、リスクを避けようとする日本型融資からの脱却を進める一方、成長が見込めない企業への貸し出しには一段と慎重な対応を取ることも予想されており、収益改善が難しい企業は正念場を迎える可能性もある。
よって今年は、倒産が急増することはないが、〝息切れ倒産〟が増え、倒産は緩やかに増加することが予想されると、今後の見通しについて旭川支店は説明している。