時の話題 「渡辺氏の矜恃」

 日がな一日テレビ三昧の連休を過ごした中、読売新聞主筆、元社長のナベツネさんこと渡辺恒雄さんの戦後の政界を語るNHKスペシャルは圧巻であった。
 倍返しの「半沢直樹」とカチ合ったことから録画し「山の日」の10日に視聴したのだが江戸っ子らしくべらんめえ口調が歯切れ良く、日本の片隅にある場末の新聞社の一員として退屈しない1時間余りであった。
 このナベツネ物語は4月にも放送された第1弾の連載分ながら所々、1回目と重複する所があり東大の学生時代から日本共産党に入り卒業後も在籍し、その後、方向転換し読売新聞に入社したことなど経歴を伝えているがそれは些末な事であり1955年、保守2党が合併し結成された自由民主党の権力闘争に政治記者として身を置いたナベツネさんの記者としての心意気が随所に披瀝され、大野伴睦氏が首相の座を勝ち取れなかった時にナベツネさんの前で男泣きしたという裏面史まで明かしたのには齢95歳を過ぎたナベツネさんの新聞記者として語っておかなければならないという気骨を感じた。ほどほど隠すが「隠すこともあるまい」という最期が近付いている老骨の矜恃と諦念を垣間見せた。
 この番組の中で戦後の日本人は戦争体験を座標軸にし政治が行われてきたが、これからは戦争体験者も少なくなり何をテーマの中心に据えるか漂浪しているのでは―としていたのが心に引っ掛った。
 今、暮らす日本人(というより地球人)の共通項は新型コロナウイルスであり、これからの座標軸はコロナだなと筆者は思ったが。

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