時の話題 「死」

 2日の日曜夜、NHKの安楽死を望む51歳の女性を巡る葛藤を実録したNHK特集を視聴した。スイスの安楽死施設で2人の姉に見取られ眠るように息を引き取る様子に涙なくして見ることができなかった。
 人間の死の尊厳とは?殺りくが繰り返される人間世界の異常さと対比する中、NHKの余計な説明をしない放送に改めて人の死と生きることについて考えさせられた。
 筋肉が萎縮し食事を摂ること、会話や文字を書くことなど人間として出来ることを近い将来不可能になる現実に自殺未遂を繰り返した挙句にスイスの施設での安楽死を決断した女性。51歳という早過ぎる死に寄り添ってきた姉2人の苦悩も静謐に録り、昨年11月の安楽死から数カ月経った今年春、満開に咲く桜の下でおにぎりを食べる2人の姉。カメラが捉えた現実の光景なのだが白日夢を見ているかのような気がした。
 またNHK特集では年が同じ頃の同じ病気の最期まで生き抜こうとする女性の収録もあり、生きている人間に必ずやって来る死について考えさせる縁となった。
 仮に自分が末期がんなどになり余命幾ばくもないと宣言された時、平静に死を迎えることができるのか。生きるために食べ、子孫を残すために結婚し、自分に不利益な物事や他人を振い落とし生きて来た人生を思い起こす時土壇場になっても切歯扼腕するのでなかろうか。最期も成仏できやしないであろう。
 「あと20年すればこの世にいない」とうそぶいているが、その実は90も百歳もと生に執着する自分がいる。

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