時の話題 「イカ釣り漁」

 猫の目農政ならぬ猫の目漁政に日本国としての腰が定まらぬ姿勢が垣間見える。何のことか言うとスルメイカ漁の小型釣り漁船のTAC(漁獲許容量)の事で、一旦来年3月末まで休漁と決め発表したのに拘らず新たに数百㌧分は操業を認めると通知した。アッチ行ったりコッチ来たりと忙しいこと甚だしい。
 函館港を基地とするイカ釣り漁は今年、好漁が続いたためなのか稚内港を基地とする礼文沖のイカ釣り漁船は最漁期とされる夏場に1隻も入港せず10月下旬に八雲籍の勝宝丸が入っただけで寂しい光景になっている。
 勝宝丸が秋口、稚内に回航して来るのはサハリンから南下し礼文島近くで産卵するスルメイカを捕獲するためで、今回の国(水産庁)の朝令暮改とも言えるTAC見直しに係わる国のスルメイカ漁政策に翻弄された勝宝丸船長は「漁停止」の指示を受け離港する旨、小紙の記者に伝えていたそうだ。
 それにしても情けない話だ。鈴木農林水産大臣は農水省官僚出身で漁業行政のプロパー(専門家)な筈だが、今回のスルメイカ漁の二転三転する施策をみていると「大丈夫かいな」と思いが募る。
 少数与党で政治が混乱しているせいなのか今の日本政府はドタバタが過ぎる。一呼吸置き判断すればいいのに即決裁しようとする。これでは関係する人々は迷惑を被る。
 勝宝丸船長とは長い知合いで単独でも稚内に寄りイカを水揚げしてくれる。漁もできず離稚するとすれば慰めの言葉もなかったところだが、一先ず漁可能になったことにホッとしているところだ。