時の話題 「夕市の会解散」
稚内酪農婦人夕市の会が3月いっぱいで解散した。稚内農協夕市の会の方が通りがいいが、40年もの間、その時々の旬の野菜の販売を通しマチに住む市民と交流してきたが、メンバーの高齢化によって断腸な思いでの解散になった。
酪農が主産業の増幌や恵北などの婦人が自家菜園で作り育てた野菜や漬け物などだけでなくハマボウフウやアイヌネギ、竹の子、フキなど採った旬の野菜をトラックで持ち込みララプラザ駐車場で販売してきた。
毎月第4水曜日午後から催していた夕市は始める1時間以上前から市民が集まり辺りは黒山の人だかりに。「何だろ?」と訝しんでいた買物客もそのうち常連客となり新鮮な上に格安とあってアッという間に大量に用意した野菜が完売してしまうほど盛況だった。
毎月来る人同士が馴染み客となり金村恵美子会長ら夕市メンバーだけでなく知合いになり親しくするなど交流の輪が広がっていた。
現役記者時代に取材していただけに淋しい解散となったが、寄る年波には勝てなかったということになる。
筆者が取材していた20年以上前には40、50代の女性もいたが、50代でも20年経てば80歳近くになるので致し方ない決断だったか。
この夕市の会解散の意味するところは稚内での酪農衰退であり、稚内酪農も法人による乳牛・肉牛多頭飼養によって、それまで支えていた小規模農家の離農が顕在化している証左でもある。
有為転変は人間社会の習いとはいえ寂しい限りで、夕市の会の活動に賛辞を贈り感謝の言葉を申し添える。

