時の話題 「夢幻のごとく」

 誰とは言わないが、先週あった三水会で異動や退職する官公庁の人達が挨拶し、とある稚内の責任者がこれ迄15回の転勤があったが岡山県に戻ってからは妻と旅行などして楽しみたいと語っていた。
 毎年のことだが、全国区の国家公務員は北海道~九州・沖縄まで辞令一つで赴任しなければならず、その苦労お察し申し上げる。残りが未だある人は溌溂とし述べる言葉も前向きだが、定年もしくは定年近くなった人達は一様に疲れ切った様子なのも頷ける。しかし人生は定年退職後も長く終着点はず~っと先なのだが疲労困憊の態でやり尽くした感がにじみ出る。
 筆者の知人のよう定年後の職で12年間終え次の職へという猛者もおり、思うに長生きの秘訣なのであろう。
 定年が無い筆者とていつ忘却が高じてくるやも知れず、書き屋を全うできなければ辞める日が近くに来ていることになる。
 年を取れば体も頭も思うように働かず回りの人間に迷惑かけるようになるのは必定で、できうる限り自分の力でやりたいと願うもそうは問屋は卸さない。家族ばかりか介護・看護の方に迷惑を掛けることにもなる。
 生まれ幼少・青年期を過ぎ大人になり社会と係わる中で生計を営む仕事に就き壮年~老年を生き、いずれ目を閉じることになるのだが、振り返ってみると喜怒哀楽に満ちた人生であった。信長の「人間50年、下天の内をくらぶれば夢幻のごとく」とまで短くないが、人の命とは儚いものである。人生の終焉、いつ訪れることやら。それまで頑張るしかないのかね。