「新局面向け変革の年」 市長執行方針 医療費無料化、中央地区再編など

 3月定例市議会は25日~3月17日までの日程で開会。初日は工藤市長が新年度に向け、若い世代への支援や人材確保対策の強化、地域医療を守る体制など地方創生の観点を改めて意識しながら力強く取り組みを進めていくなどと述べた上で「今後の目指すべき姿に向けた道筋をつけていく上で、新たな局面に向かっていく変革の一年としていかなければならない」などと力強く語った。
 4期目折り返しの3年目となる新年度は主に①子ども・若者の夢を育み、次代を担うひとづくり②安らぎの空間に笑顔あふれる基盤づくり③地域の資源を活かした魅力ある仕事づくり④互いに支え、いきいきと生活できる暮らしづくり⑤まちを愛し、世界に誇れるふるさとづくりの5つを基本目標に取り組むとした。
 ①の若い世代への支援として、幼児〜高校生までの医療費無料化に関し初診時の一部負担金と、所得による制限を撤廃し完全無料化にすることで、子育て世帯の更なる負担軽減を図る。生活拠点を稚内に置いている若者に街として応援する観点から結婚の披露宴開催などに対し、地域経済活性化の意味を含め支援する。
 ②は都市基盤で今秋の供用開始を予定している市役所新庁舎の整備と並行し、中央地区の賑わいづくりとあるべき姿への再編に向け民間企業などの動向を踏まえ検討を進める一方、南地区では旧稚内海員会館と敷地を対象に、民間事業者の意向把握や投資の促進を図るため、事業者との直接対話によって事業検討を進展させるべく情報収集を行うサウンディング型市場調査を行う。
 ③は観光に関し、昨年4月に本登録された「きた・北海道DMO」を中心に稚内や利礼両島の二次交通の環境改善を進める。人材確保に向けて、新年度から奨学金の返還、市外から就職する際の赴任費用に対する企業支援を新たに行い、企業と行政が一体となって人材確保の取り組みをより強力に推進する。
 ④は二次医療圏センター病院の役割を担う市立稚内病院の人材確保や体制の充実、稚高の衛生看護科・専攻科の存続を図ることなど含め必要な取り組みを進める。人生の最期まで自宅で過ごせるよう在宅医療センターの年度内の設置に向け取り組む。
 ⑤は国内外との交流で、友好都市の石垣市や枕崎市との民間団体による相互の交流継続、間宮林蔵に関する縁で親交が深まった、つくばみらい市との間で小学校同士の学び合いの交流。国際情勢から長く休止を余儀なくされているサハリンとの交流は、引き続き情報収集に努めながら慎重に状況を見極めいくとした。
 新年度に向けて思いを語った市長は「市民の皆さんに約束した公約、先人から受け継いできたこのマチを、健全な財政状況を維持しながら、より良い形で次の世代に引き継いでいくためには、非常に大切な一年になる。私自身が先頭に立ち、邁進していく」などと述べた。
 一般行政報告では▽冬季イベントの開催状況▽宿泊税に関する審議会の開催▽市役所新庁舎・稚内中学校校舎の整備状況▽冬期間の裏山エゾシカ捕獲など6項目について報告。