時の話題 「市の新年度予算案」

 稚内市の来年度予算案が発表され、一般会計304億8000万円ほか特別、企業会計含め全体で516億円に膨れ、過去最大の予算案となった。
 工藤市長は記者会見で「市役所新庁舎、稚中新校舎の完成・供用を機に市勢再生の機運が高められ市政運営に努めて行きたい」などと述べたが、的外れの見解ではと思わざるを得ない。新庁舎によって一時的に中央地区は賑わいを見せ職員のやる気も高まるだろうが「再生」に結びつくのか甚だ疑問だ。
 震度6強でも倒壊する可能性がある庁舎改築について市長は当初それほど緊急性が無いと考えていたが、その後、改築に舵を切ったのは経済へのカンフル剤的役割を期待したのだろうか。事実、多くの地元企業が工事に携り作業員も地方から稚内入りする人が多々あり経済全般の底上げに寄与した。
 稚中校舎建設とて飽くまでも学校の事であり、建設途中は経済活性化に資するが、建ててしまえば教育の事となる。子は国の宝という観点からは教育環境を良好にするのは大事なことだが、市長が言うような稚内市再生には繋がらない。
 市庁舎38億、稚中15億の53億円の事業費は一般会計全体の17%を占め財政の硬直化を進め、基金を6億5千万円ほど取り崩し残高は42億6千万円に減ってしまった。
 行け々々どん々々の好景気の時代なら未だしも急激な人口減少によって自由が効かず抑制的な財政運営を強いられる当市にとって今後求められるのは人口2万5千人を想定したマチづくりであろう。(続く)