稚内から世界へ 育英館大学学長 松尾英孝
14世紀のアラビアの碩学イブン・ハルドゥーンは、「人々の連帯を希薄にする都市文明」は約120年毎に「人々を連帯させる」地方の新興勢力に征服されると論じました。彼が西欧の学者から「歴史哲学の祖」と認められていることは、この歴史論がアラブ世界に限定されない普遍性を有していることを示しています。
私もかねてより国家は地方から新たな力を得て活性化されると説いてまいりました。動乱の世を終わらせ新たな時代を切り拓く青年たちは、常に地方から輩出されています。そして人々の連帯が他のどこにも増して強い稚内に、私は大きな可能性を感じております。
本学は昨年4月に「育英館大学」として生まれ変わり、稚内を輝かせるための本学の努力を着々と進めております。
とりわけ6月に本学ネパール人留学生が留学生初の職場体験をさせていただいたことは留学生を呼び込み、地元に定着させる上で貴重な一歩でした。
また、7月には北海道南富良野高等学校と本学は、高大連携に関する協定を締結しました。この協定は、カーリングなどを通じて連携し、教育内容の充実及び生徒・学生の学ぶ意欲の向上を図り、地域社会に貢献できる人材を育成することが目的です。
10月には2年ぶりに学園祭「最北祭」を開催いたしました。学生企画中心の学園祭を開催し、多くの市民の方に来ていただき、同時に「ネパールフェスタ」を通じて国際交流の一助を担うことができました。サテライトキャンパスの運営も順調に進んでおります。
来春4月にはミャンマー、ネパール、スリランカ、ウズペキスタン、バングラデシュなど数ヶ国から60数人が別科に留学してくることが決まりました。彼らは翌々年には本科に入学することが予定されております。このように、多くの国から留学生を集め、国際色豊かな大学に変貌いたします。そして再び存続の危機に見舞われることのない強い大学を目指し、稚内をアジア各地はもとより世界とつなげます。稚内はアジア各地から人材を集め、世界に打って出る拠点となるのです。
本学は地元の皆様あっての大学です。本年もどうぞ皆様のご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。