時の話題 「札響演奏会」

 コロナ禍で2年間、中止を余儀なくされた札幌交響楽団の定期演奏会に臨み強く思ったのはナマの演奏の醍醐味とともに、50人を超す団員の衰えぬ情熱であった。
 災禍によって稚内ばかりでなく道内外、そして海外での演奏会を開けずにある中、スキルを保つのは大変だったろうし、何よりも楽団の収入が著減し必然自らの給料も減ってしまい音楽への情熱どころか生活への不安もあっただろうに見事な演奏をした団員の皆さんに称讃をおくる。
 演奏会には団員の境遇をおもんぱかり演奏が始った途端、感涙したこともあり、これまで37回の札響演奏会で最高の出来だったのであるまいか。
 ベートーベンの「運命」を聴いたのは20数年ぶりであろうか。クラシックの定番として余りにも有名なことから自ら聴くことを避けていたが、久し振りに聴く「運命」は、国内十指に入るレベルの札響団員によって神の啓示のごとく厳かに聴こえたのは筆者一人だけではあるまい。個人的にはチャイコフスキーの「悲愴」が好きなので来年こそ演奏するよう願っている。
 正面に向かって右側の20列目に座ったこともあるのか、これまでの演奏会と比べ〝残響〟が耳に残り会場となった文化センター改修の成果だったのか。
 コロナの感染拡大もあり、みなと南極まつりのよう中止も有り得るかと不安視していただけにコロナ対策を十分し開催に漕ぎつけたのは執念の賜であり、稚内音楽文化協議会(会長・増田稚内信金理事長)と北海道新聞の方々には感謝している。

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