時の話題 「年金に黄信号」

 「100年安心の年金」。国は日本の年金支給について、こう豪語してきたが、先般、金融庁の審議会が年金以外に老後資金として2千万円必要とした試算を明らかにした。金融担当相の麻生副総理がマスコミの前でペラペラと喋ったものだから大騒ぎとなり、国は正式な報告書としての受け取りを拒否したが、野党は〝消えた年金問題〟の再燃とばかり熱り立っている。
 7月の参院選に向け与党は不利な材料になるとして火消しに躍起となる一方、野党は千載一遇の好機として攻撃の手を緩めない。この国の政治家どもは国民の生活など一顧だにしていないのを如実に示した体たらくの出来事といえよう。
 懸命に働き納めてきた年金に見合った分が支給されないばかりか年金財政の破綻さえ危惧される事態があり得ることを示したともいえる今回の〝老後2千万円問題〟は、国を信じてきた国民に怒りの鉄拳を用意させるだろうし、安定している政府与党の政権運営に暗雲が漂うばかりでなく広がってきていることさえ窺わせる。
 自営業者や個人事業者には国民年金、我々中小企業で働く人には厚生年金が65歳前後から支給されるところから国民は大して多くない月収からせっせと保険料を支払っているのだが、年金でも老後の生活には足りず、2千万円の蓄えが必要というのは国の年金政策に誤りがあったという証左であり、国民は看過してはいけない。
 温々と暮らす政治家や官僚に理解できぬ下々の生活。その老後の生活に赤信号が灯ろうとしている。だから行政は信用できない。

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