時の話題 「『国宝』を見て」

 映画「国宝」の興行収入が150億円を超えた。つい先日、100億円を超えたというニュースを見たばかりの爆発的人気にあやかり筆者も今週日曜日の21日、T・ジョイ稚内に見に行った。
 稚内でも1カ月以上上映しているというのに観客は少なくなく、かなりの期待感を持って鑑賞したが、ヤクザの親分の子ども(吉沢亮)が女形としての才能を見出され歌舞伎役者の家に引き取られ、その家の御曹司と競い合い名跡を継ぐも歌舞伎界を去り旅芸人で暮らす中、御曹司が発病したため呼び戻され末は人間国宝になるという人生模様を描いた通り一遍の筋立てで、奇想さをを好む筆者としてはつまらなかった。
 と素人なりの映画批評をするが、吉沢、横浜さんが実際に演技した歌舞伎の女形は優雅そのもので、映像美としては万人の評価どおりではあった。
 映画の原作者は売れっ子作家の吉田修一で3年間、黒衣をまとい楽屋で見聞した経験を基に書き上げ、監督の在日三世の李相日(リ・サンイル)は「悪人」「フラガール」「流浪の月」などで知られる。
 吉田、李、吉沢、横浜と当代屈指の人達が作った「国宝」は当初これほどのヒットを期待していなかった。それが日が経つにつれ観客が増え日本の実写映画としては「踊る大捜査線レインボーブリッジ~」に次ぐ興行成績をあげているのは社会現象とも言えようか。
 稚内での上映も長くなったのでそろそろ終了すると推測されるが見て損のない映画であるのには間違いない。この映画が大ヒットし歌舞伎への関心が高まっている。当然だ。