時の話題 「終戦記念日」

 太平洋戦争が終わり75回目の終戦記念日を明日迎える。昭和29年生まれの筆者はいわゆる戦後世代だが、報道や文献などで戦中の忌わしさを疑似体験しているかのような錯覚を感じる中、終戦後も世界の各所で起きている内戦や国同士の小競り合いで肉親や家を失った人達に思いを寄せると胸が痛くなる。曲りなりにも家族を持っているからなのだろう。
 戦後世代の自らの人生を振り返ると、小学中学年頃まではどこの家も貧乏だった。テレビさえ無く、よく隠れんぼや軍旗将棋をしていたのを覚えている。冬は叔母からのお下がりのスキーを楽しんでいたが安物だったため先が折れ途方に暮れたこと、春には残雪がある裏山に出掛けカラスの巣を突っつくなど悪さをしたものだった。
 昭和40年代の高度成長期に入ると我が家でもテレビを見れるようになり、中学生時代には夜に放送していた「11(イレブン)PM」を親に隠れて見るなどし思春期を過ごした。
 そうこうして迎えた戦後75年。経済は一時GDP世界2位まで躍進したが、金儲け主義に陥っていないか。他者を平等視していないのでは、他人の不幸は他人事などと、昔、日本人が持っていた美徳が失われていないか。拝金主義の悪癖が日本人社会に蔓延していないか疑問を有しざるを得ない。
 あの原爆を投下した米国の手先のような振舞をし民主資本主義国家然としてきた我が国だが、大事な所々で米欧に倣おうとし自らの国家論と国民像を有する努力を怠ってきたのであるまいか。指導者ばかりでなく国民も猛省せねばならない。

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