時の話題 「田舎の優位性」

 先週末、稚内市地方卸売市場(機船漁協市場)で早稲田大学人間科学部の学生2人が同市場屋上にあったカモメの卵を回収し大きさを計測している場面に出会し取材するも「先生(准教授)に聞かなければ記事の可否は決められない」と言うので筆者の名刺(携帯の番号も記載)を差し出すも先生から電話がなかったので記事にするのを諦め、小欄で記すことにした。
 学生2人は野生動物生態学研究室に所属し主に利尻島で研究活動をしているそうだが、毎年この時期には機船漁協市場屋上に生み落とされたカモメの卵を回収し計測するなどして研究の参考データにしている。卵が屋上に放置されれば野ざらし状態になり死滅するか他の鳥類のエサになるのが目に見えているので機船漁協にしてみれば人手を使わず卵を回収でき、大学側は貴重な資料のひとつともなり互いに利益が生じるのであろう。
 自然も人間社会も補き合うことで成り立っており、人間を主体し申せば正に相身互いの関係が構築され、小さな集落ほど恩恵に浴することが多い。
 そういう観点から都会ほど相身互いの関係が生まれにくく、現代社会にあってはSNSで薄っぺらな人間関係を構築しようとするが関係が破綻してしまい殺人事件に発展することがある。
 都会に比べ濃密過ぎる田舎(稚内も入る)の関係を嫌い都会への憧れも手伝って田舎から去る人であふれたのが高度経済成長期であり拙速過ぎた田舎見捨て論が取返しがつかない都会像をつくったのかも知れない。田舎の方が安住を保てる。