時の話題 「厳しい実体経済」

 20年2月からのコロナ禍によって塗炭の苦しみを舐めた産業界の23年1月以降の回復は目を見張るものがあるも昨年来の物価高により萎んできているのは確かなようだ。
 稚内信金が今年3月初旬に行った1~3月の中小企業景気動向調査で全業種平均のDI値はマイナスながら改善していることが読み取れるが、果たして事実なのか。
 マスコミ社主としての見解と断りをつけるが改善に向かっているとは思えない。冬期間ということがあるにしても全体的に上向き感はなく、売上はとも角、収益に関し改善感がない。収益DI値は前期(昨年10~12月)に比べ建設業マイナス21・2、卸・小売マイナス17・6など押し並べて「前期より悪化」との回答が全ての業界にあった。
 プラス12・5と売上増のサービス業でさえ収益DI値はマイナス10・4まで落ち込んでおり、どうにかこうにか遣り繰りして厳寒期に対処したというのが実状でないのか。
 4月以降は盛業期になるので売上(受注)とも1~3月期に比べ大幅な伸びを示す期待もありDI値が上振れしたが、収益は卸・小売業マイナス7・8、建設業3・0など利益が上向かないという感覚にあり、仕入・材料価格はほぼ全ての業種での高騰観が極立つ。
 3月末に3万人を割った稚内の人口は4月になっても回復せず「2万台のマチ」になったという閉塞感が行政、民間ばかりでなく市民にも見られる。
 4万割り3万を切ってしまったマチに対する喪失感は思うより大きく、更なる人口減を招来する恐れがある。