けさ榮寶丸帰港 だ捕から14日ぶり 風無組合長が不当連行主張

 宗谷岬沖でロシア国境警備局にだ捕され、コルサコフ港に連行されていた稚内機船漁協所属のオッター船第172榮寶丸が11日、稚内港に帰港した。5月28日のだ捕から14日ぶりに稚内に戻った。
 ロシア側に違法操業だとする約900万円の罰金を払った榮寶丸は10日午後、乗組員14人全員が解放され、コルサコフ港を出港。夜間航行は危険なことから乗組員は船内で1泊し、11日午前6時10分頃、稚内港国際旅客ターミナル前に着岸した。
 乗組員の健康状態に問題はなく、報道陣の「体調は大丈夫ですか」との問い掛けに「大丈夫です」と答え、船上で笑顔を見せる乗組員がいるなど全員、元気そうな表情をしていた。
 その後、船内で新型コロナウイルスのPCR検査を受けた乗組員は全員、陰性が確認され、船は午前10時半過ぎ、停泊場所の第1副港に移動し下船した乗組員は岸壁で待っていた家族らとの2週間ぶりの再会を喜び車で帰宅した。乗組員は今後、2週間自宅待機する。
 副港市場で帰りを待っていた家族は「安心しました。再会したらおかえりと声をかけてあげたい」と話していた。
 稚内機船漁協の風無成一組合長は報道陣の取材に対し「乗組員は元気そうで安心しました。お疲れさまと声をかけたい」と語り、国境警備局は榮寶丸がロシアの排他的経済水域(EEZ)内で違法操業していたと主張していたことに「我々は日本のEEZ内で操業していた。不当な連行で今後、だ捕・連行がないよう求めたい」とし、船側が罰金を払ったことについては「乗組員の早期解放が最優先だった。罰金を払ったからといって違法を認めたわけではない」と語った。

「鈴木知事がコメント」
 11日、第172榮寶丸が解放されたことを受け、鈴木知事はコメントを発表した。
 サハリン州国境警備局に連行された乗組員14名の皆様が無事に解放され、本日、船体とともに稚内に戻りました。
 この間、ご家族の心労が絶えなかったものとお察しいたします。乗組員の皆様の健康状態に問題はないとの連絡を受け、私としても安堵しているところです。
 解放に尽力頂いた外務省、稚内市はじめ関係機関の皆様方に対し心より感謝申し上げます。
 道としては関係機関との連携を強化し、漁船が連行され、乗組員が拘束される事態が二度と発生しないよう対応して行きたいとコメントした。

稚内港国際ターミナルに帰港した榮寶丸

第一副港岸壁で下船する乗組員

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