時の話題 「稚内信金の決算」
稚内信金の総代会で3月決算の昨年度業績が公表されたが、コロナ禍とあって当期純利益は2億6100万円と、前年に比べ66・91%もの減益となった。
同金庫独自の新型コロナ特別融資制度の貸出金を、貸倒引当金として積み増したことが要因で、他に日銀のマイナス金利政策、稚内を中心とする営業エリアの経済地盤沈下なども積み重なり大きな減益となった。
それでも配当負担のない利益剰余金は510億を超え経営の健全度を示す自己資本比率は57%と極めて高い数値を示し、盤石な経営は変わらない。
コロナで辛酸を舐める事業所への特別融資は、地域との共存共栄を図るという金庫の信条でもあり、国などの財政措置での公的支援含め471件、77億円もの融資に至っている。融資の中には返済不能となるリスク債権もあり禍根を残さぬよう貸倒引当金を大幅に積み増したことが減益に直結してしまったが、コロナ後も続くだろう企業の窮状を見据えた対応として当然の措置であろう。
札幌、旭川にも支店を持つ稚内信金だが、経営の基盤となるのは稚内など宗谷管内である。ということは宗谷の繁栄なくして安定した経営はできないということであり、コロナで呻吟する企業に融資を実行するのは不可欠な事であり、これまで以上に企業への経営アドバイスを強化して行かなければなるまい。
地域が繁栄し金融機関も利益を上げるという経済の好循環のためには確固とした経営を続けている稚内信金の下支えがなくてはならず、企業の守り神になるよう願っている。